2009年03月17日

精霊の守り人

精霊の守り人  上橋菜穂子 新潮文庫

  (ストーリー)

 新ヨゴ皇国の第二皇子チャグムは、命を帝から狙われていた。その彼を助ける用心棒になってくれ、と頼まれたバルサは、帝を敵に回すことを百も承知で引き受けてしまう。そのチャグムにつきまとう謎。水の精霊とはなにか? なぜ、チャグムは狙われているのか? そして、新ヨゴ皇国に伝わる神話の真相とは。謎が謎を呼ぶ不思議なお話。

 書評

 異世界ファンタジーですが、アジア風味たっぷりのお話でした。最後のあたりの、土は水に負け云々という台詞は、五行を知らない人にはさっぱり、というお話でもありますが、私はついて行けたようです。

 チャグムがいたいけなくて、私には胸が切なくなりましたね。それに、初めは対立していた帝の刺客とも仲良くなれて、ラストまで意外性の塊でした。

 トロガイが女だなんて、それにはびっくり!

 バルサの性格もすごくよかったですねえ。強くて優しくてカッコイイ!

 「旅人シリーズ」や「獣の奏者」も読んでみたくなるお話でした。

                                                    二〇〇九年三月十五日

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2009年03月10日

トムは真夜中の庭で

「トムは真夜中の庭で」

 フィリパ・ピアス 岩波少年文庫

(ストーリー)

はしかがうつらないように、と言ってトムはアランおじさんのところへ。そこには友達もなく、退屈しきっていたトムは、真夜中に柱時計が十三時を打つのを聞いて、ベッドを起きだし、昼間には存在しなかった庭を発見する。そこで彼は、ヴィクトリア朝時代の女の子と出会うが……

 世にも不思議な、ちょっと古めのファンタジー。

(書評)

 現実にはありそうにない話を、丁寧に、しかもリアリティたっぷりに描いてあるところがすばらしい本です。トムの勝ち気な性分が、いかにこのヴィクトリア朝時代の女の子に影響するか、といったことから、この少女の正体にいたるまでの、自然な話の流れがとてもいいですね。

 庭が現実にあったのに、なくなったときのトムの混乱ぶりもリアルでしたし、それが全部解決したときのトムの喜びも良かったです。

 話的には古いんですよねえ……。トムが生きていたら、私の年代くらいなのかな? と思います。

 いい話でした。また再読したいです。

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2009年02月28日

ドリトル先生の楽しい家

「船乗り犬」

 ウミツバメ号という舟に乗った犬と、船乗り見習いのスヌーキー少年の物語。船乗り犬は、自分が原因で舟が難破してしまったという話を始める。

「ぶち」

 純血種のダルマチア犬、ぶちは、最初親しみのある田舎地主に買われていくが、地主は賭けごとに失敗してついに大金持ちにぷちを売り飛ばしてしまう。大金持ちは、ぶちをアクセサリーの一種だと考えていた。しかも、愛玩犬として扱ったために、自分が性格がねじまがってしまうと自分で気づくぶち。彼はドリトル先生の処へたびたび保護を求めるが、そのたびに連れ戻されるために、狂犬のふりをしてドリトル先生の処へ先生は、集まってきた野次馬と大金持ちの前で、狂犬ではなく、ヒステリーがうつったのだと言う。そして金持ちは、ぶちをあきらめ、立ち去っていった。

「犬の救急車」

 まるで落語の「いらち車」みたいなお話。犬たちは、自分たちの仲間がよく事故にあうので、救急車をつくりたい、という。しかし、いざ作ってみると、患者はいない…… ちょうどガブガブが食べすぎでおなかを痛めていたので、がぶがぶの意見も聞かず、救急車は走り出す! ガブガブの身体で車はあっちへ曲がり、こっちに曲がり、ついに川に落ちてしまう始末。救急車の行く手にはのんきに歩くポメラニアン。ポメラニアンが、ひかれてしまった。そこで無理矢理それをのせて、先生宅へ――。ポメの抗議、ポメの飼い主の抗議、ガブガブの抗議。ついに救急車は終わりを告げる。

「気絶した男」

 先生の家の前で、一人の男が気絶していた。しかも彼はお金を盗まれたという。それが半分ウソであることを見抜いたガブガブは、ジップと雑種犬ホームに、探偵犬の出動を促す。雑種犬はこの事件の真相を、シャーロック・ホームズのように解き明かす。

「カンムリサケビドリ」

 先生はチープサイドを連れてイギリスの動物園へ。そこで先生はカンムリサケビドリという鳥と、彼に命を救われたチープサイドの物語を聞くことになる。

   チープサイドは、小さな鳥に親切にしてくれたカンムリサケビドリの恩返しに、スグリ入のケーキからスグリを取ってくることを思いつく。しかし、どこにもそんなお菓子はない。王家の会員集団のケーキなら、というわけで、チープサイドは一計を案じ、ネズミと協力して会員のケーキを選り入にすることに成功する。ところが、スズメの子どもたちのために少々脂身が必要になったとき、彼はミミズクの檻の中にとらわれてしまった。命の危機を救ったのは、またもカンムリサケビドリであった。チープサイドはミミズクの手から、からくも脱出する。

「あおむねツバメ」

 白人の女が男より偉そうなのは、青い羽根の付いた帽子のせいに違いない――と信じた黒人の女たちは、青むねツバメを狩りはじめる。しかしツバメはハエや虫を食べる益虫であった。先生は、黒人たちに、ツバメを殺させないためにある計画を思いつく。

「虫ものがたり」

 先生は、ウジ虫の冒険談を聞く。クルミの家の中に入っている小さなウジは、どうしてどうして、なかなかのぼうけんをしてきたのである。

 彼の友人に、冒険好きのウジ虫がいた。普通のシカなら六秒で行けるような所へ行くのにウジ虫だと何日もかかるところを、なんとかしてその障害を乗り越え、自分のやりたいことを成し遂げたい、と思っていたのだ。

 さまざまな遍歴を済ます友人の物語。ウジから見た世界というものがどんなmのか、モノの見方が変わる本。

「迷子の男の子」

 動物園に行った先生は、迷子の男の子を見つけて携帯品預かり所の係員に渡したが、先生を慕って男の子は追いかけてくる。

 そしてサーカスで動物世話係になるのだと言ってきかないおだ。弱り切った先生は、人が良いことに、この子をサーカスに寝泊まりさせてしまう。親はなかなか引き取りに来ず、先生は警察に訴えるが――。

 書評

 一番傑作だったのが、犬の救急車の話でした。

 これでドリトル先生のお話は、おしまい。ちょっと寂しいけど、仕方ないですよね。

 次回からは毎週火曜日を更新日にいたします。何を読むかはお楽しみに、というところでしょうか。日常的に書評が出来ないのは、ひとえにスキルが足りないことを実感したためです。もっと面白い書評を書く練習を、火曜日以外でやっていきたいんです。

 どうかよろしくご理解のほど、お願いいたします。

posted by アスリア at 07:09| Comment(13) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

心霊博士ジョン・サイレンスの事件簿

心霊博士ジョン・サイレンスの事件簿 創元推理社

献本で頂きました。

(ストーリー)

 ●霊魂の侵略者

 お金持ちのジョン・サイレンスは、普通の病気は治さない。いわゆる「霊的な病気」を治す医者である。あるとき、スウェーデン女性から、あるユーモア作家が原因不明のスランプに陥っていると相談され、彼は原因究明に乗り出す。

(感想)

 サイレンスという人は、ほんとに変わった人である、ということが分かる一話になってます。しかも、彼には魔法が使えるのです! 魔法と心霊の関係の意外な接点。そして相棒の動物たちの細かい描写。実に面白いお話でした。

 ●古(いにしえ)の妖術

 ヴェジンは、ある町にとりつかれてしまった。それはさまざまな現象が起る不思議な町……。からくもそこを脱出したヴェジンは、ジョン・サイレンスに相談を持ちかける。

(感想)

 そうきたか、という感じでした。意外性がばっちりあるお話です。ちょっとした教養、蘊蓄も身につけられますね。なかなか、面白かったです。

 ●炎魔

 足の不自由な妹を持つラッジ大佐を助けるべく、ジョン・サイレンスと助手の「私」(ハバード)は奮闘する。

(感想)

 いいじゃないですかー。ラストは不気味でしたし、知らない知識がいっぱいありました! 参考になりました。

 ●犬のキャンプ

 キャンプに出かけた「私」と友人たちは、そこで不気味な犬の存在を知る……

(感想)

 下手したら差別じゃないかなあ、と思いつつ、読んでしまいました。まあ、この時代なんだから仕方ないかな。

 ●四次元空間の虜

 マッジは、サイレンスの家まで訪れて、自分が四次元空間にとらわれていることを訴える。

 (感想)

 ラストにユーモアを感じました。

全体的な書評 

 この本は、オンラインゲーム女神幻想ダイナスティアでTRPGにしたいなと思いました。(以前にも、献本で貰った「駆け出し魔法使いとはじまりの本」という小説を、ダイナスティアでTRPGにしたことがあります。詳細は公式ページにて)。

 このまま使うには、ちょっとアレンジが必要ですけどね。面白かったです。

posted by アスリア at 07:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年02月14日

火車

 休職中の刑事、本間は、亡き妻の従兄の息子和也に頼まれて、和也の失踪した婚約者を捜し始める。が、意外にもその婚約者は、別人の名前を騙っていた……。

 クレジットカード問題に斬り込んだ、問題作。現代にも通じるお話です。

 印象に残った記事

 (P303〜304)

  これから先、お前たちが背負って生きぬいてゆく社会には、「本来あるべき自分になれない」「本来持つべきものが持てない」という忿懣を、爆発的に、凶暴な力でもって清算する――という形で犯罪をおかす人間があまた満ちあふれることになるだろう、と。

 そのなかをどう生き抜いてゆくか、その回答を探す試みは、まだ端緒についたばかりなのだということも。

(中略)

「井坂のおじさんね――」と、ようやく言い始めた。

「お父さん、聞いてる?」

「聞いてるよ」

「他人のすることが、なんでもかんでも気に入らないって人が、世の中にはいるんだよって」

「そうか」

「でね、そういう人は、自分の気に入らないことを見つけると、まずそれをぶっこわしておいてから、ぶっこわしたりゆうをでっちあげるんだってさ(中略)えっとね、大切なのは、どういうことを考えたかってことじゃなくて、どういうことをしたかってことなんだって」

(中略)

「ひどいことする人は、自分がどうしてそういうことをするのか、ちゃんと考えたことがないんだって」

 (中略)

「あいつが自分のことしたことをよおく考えて、それからあやまりにきたなら、カンベンしてあげなさいって」

(なぜ、この記事を選んだのか)

 クレジットカード問題については、購買欲を駆り立て、高い金利を要求する企業側の責任と、無知のままでいる消費者側の責任が両方問われています。

 この記事を読んで、最近の振り込み詐欺のことを考えていました。最初の頃こそ、暴力団などが詐欺集団として活躍していたのに、最近ではリストラされた高学歴の若者が、「職業は詐欺」と言っているのだそうです。

 電話だったら、それほど良心はいたまない――。

 詐欺で儲けることが出来たら、褒める。給料という形で分け前を与え、昇給させる。いろんな手段を見るにつけ、高学歴になるために、いったい、この若者は何を犠牲にしたんだろう、と思うわけですよ。

 来週いっぱいは、書評をお休みさせていただきます。

posted by アスリア at 11:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

家守綺譚

☆家守綺譚・梨木果歩(新潮社)

 ※サルスベリ

 ひょんなことから、家を借りることになった主人公は、サルスベリに恋慕されてしまう。

(感想)

 フィクションだけど、どこかリアルなお話です。英語教師の「私」と、死んだはずの親友の会話がちょっと不思議でした。

 ※都わすれ

 死んだはずの親友、高堂に頼まれて、私綿貫征四郎は、ゴローという犬を飼うことになる。

(感想)

 この「私」というのが、どことなく、夏目漱石っぽくて好きですね。

 ※ヒツジグサ

 未(ひつじ)の時刻に咲く睡蓮の花。その葉が群生していると思っていた場所に、カッパがいた。

 (感想)

 カッパが乾物になってるというところがユーモアがあると思いました。

 ※ダァリア

 印象に残った記事

(引用開始)

 これには心が動いた。しかし、百足やマムシが出るたびに頭の中で金勘定をするようになる気がして、それはあまり高等な習慣のようにも思えなかった。第一、文筆に勤しんでいるとき、やれ百足が出たからといって、全ての思考を中断して百足採りに血道を上げるというのは本末転倒ではないか。

(引用終わり)

 

 (感想)

 まるで志賀直哉みたいな語り口ですね。

 ※ドクダミ

 カッパの抜け殻を手に入れた「私」のもとへ、高堂が現れて意外なことを告げる。

(印象に残った記事)

(引用開始)

もう少しすごみのある人格の方が、奥行きがあって、文筆を業とするのにもだいぶいいような気がする。どうもこういう軽さが、原稿に重みの生まれない致命的な要因なのではないだろうか。

(引用終わり)

 

 (感想)

 自分を客観視できるユーモアがありますね。

 ※カラスウリ

 家守になった夢を見る「私」。しかし家守にしてみれば、「私」の方が夢だった……

 (感想)

 邯鄲の夢ですね。

 ※竹の花

 碁を打ちに、和尚の家に行くことになる。が、途中でキツネやタヌキが出てきて……

(感想)

 狐や狸と思っていたら、実際には違うという設定と、ラストのオチが面白かったです。

 ※白木蓮

 つぼみの中に、タツノオトシゴがいるという長虫屋。凄い金額で引き取るというのだが、怒って「私」は帰れと言う。そして木蓮のつぼみは孵り、中から出てきたのは……

 (感想)

 面白いラストでした。タツノオトシゴと長虫の関係から、一気にこういう逆転もあるのか、と思いました。伏線の張り方がいいですね。

 ※木槿(むくげ)

 印象的な記事

 信仰というものは人の心の深みに埋めておくもので、それでこそああやって切々と美しく浮かび上がってくるものなのだ。もちろん、風雪に打たれ、堪え忍んで鍛え抜かれる信仰もあろうが、これは、こういう形なのだ、むやみに掘り出して人目にさらすだけがいつの場合にも最良とは決して限らないのだ、ことに今ここに住む我らとは、属する宗教が違う。表に掘り出しても、好奇の目でmられるだけであろうよ、それではその一番大事な純粋の部分が危うくなるだけではないのか

(なぜ印象的なのか)

 聖書には、鍛え抜かれ、堪え忍ぶことが美しいと書かれていますし、イエスは、自分が物陰で言った言葉を、大勢の人々に伝えなさいと弟子に命じました。だけど、こういう言葉が出てくるというのは、ナガサキの影響があるんだろうなと思いましたね。

※ツリガネニンジン

六人の女の子が、店じまいした旅籠の一つから、欄干にもたれている。その娘さんたちは、幻のようであった。

 (感想)

 人康(きねやす)親王という、仁明(にんみょう)天皇の四番目の王子で目が不自由にうまれついた方――蝉丸とは違う人の話が載ってます。どこでこの情報をゲットしたのかな? と思いました。

 ※南蛮ギセル

 風の強い日、長虫屋と会った「私」は、自虐的な気分に陥る。

 (感想)

 風虫、という、やけに手足の長い、蠅よりも細身の、風を予見して一斉に湧く虫の話題が載ってます。創作に使えそうです。

 ※紅葉

 竜田姫という、日吉(ひえ)神社の、この湖水をおさめている姫神のことを知る「私」。紅葉を喰らうモミジブナが、姫神の竹生島参りとぶつかり、少々混乱をきたしているという……

 (感想)

 姫神を使って、TRPGができそうです。ここに書いてあるように、晩秋の綾錦の衣をしまい込む、という形にしようかな。

 ※葛

 黒い小さな虫がほくろになった。鷺に悩まされないようにと思い、人魚のために網を張る主人興亜、その網の縄に使った葛のツルに、天内が咲きかけの花房を残す。

 感想

 高堂のことを書け、とけしかけられて迷いつつも、メモをする「私」というのは、とことん書くことに魅せられたんだろう、と思いました。

 ※萩

人魚は去ってしまう。

 感想

 葛の花のかわりに、同じ形を細く小さくした、寂しい萩の花が咲いていた、というところで、ちょっぴり感傷的な気分になりました。

 ※ススキ

 「私」は牛尾山で、高堂と会話をする。

 感想

 印象に残った記事

(引用開始)

 ――つまり、ああいい場所だと思う、そして自分が死んだら故郷のどこそこへ埋めてくれと人にせがみたくなる、いい場所とはつまり、人が埋められる気になる場所なのだよ。

(引用終わり)

 (なぜ印象的なのか)

 私の夫は、死んだら灰を海に撒いてくれと言うとりました。そういう時代とは違った感覚の頃の話なんだな、と思いました。

 ※ホトトギス

 再び狸に化かされる「私」である。

 (感想)

 今回の狸は殊勝でした。

 ※野菊

 ヘクソカズラについての蘊蓄あり。

 感想

 名前についてのアレコレが書いてあります。最後のオチは穏やかでした。

 ※ネズ

 カワウソまで化けて出た。一生カワウソ暮らしと聞いてびっくりする「私」。

 感想

 長虫屋の母方の祖父がカワウソなのだそうです……。日常がリアルなだけに、そういうことを平気で言える世界って面白いなあと思いました。

 ※サザンカ

 「緑の風」という風が吹くと、必ず行方不明になる人がいる、という本(世界の風土病)を読む「私」。その風が吹くと、ふらふらと砂漠の中にあるいていってしまうのだとか……。この場所にも風土病があるか、と考えていると、彼の元に不思議な現象が。

 感想

 ダァリアの君がやってきて、幼なじみの佐保ちゃんは、春の女神になって戻ってくると泣くシーンは、不思議だけどそういう土地なんだなあとしみじみしました。

 ※リュウノヒゲ

 ロンドンに留学している友人が、夫人は歳を取ってくると次第に象足になる、という話を手紙によこす。

 そんな日常を営む彼の処へ、洗濯物が飛んできたと言って、かみさんがやってくる……。

 (印象的な記事)

(引用開始)

 死んでいようが生きていようが、気骨のある魂には、そんなことはあまり関係がないんですよ。

(引用終わり)

(なぜ印象に残ったか)

 気骨のある魂って、なんだろうと思いました。そして、その魂は、死んだらどこへ行くのだろうかと。どんなのどうでもいいっておかみさんは言いかねませんね。

 ※檸檬

 湖の方から列車が来る、とダァリアは言う……

 

 (感想)

 檸檬が印象的なお話です。話の中心ともなってます。珍しいことです。

 ※南天

 お札がネズミに引かれてる、と言われてお札を買いに吉田の神社に買いに行くと……

 (感想)

 長虫屋、またも登場。今度は腹違いの弟が出てきました。お札を売ってるんですが、そのお札がべらぼうに高かったり。結局買ってから中身を見たら、というシーンで笑ってしまいました。なんだ、それなら買う必要ないじゃないの! (笑)

 ※ふきのとう

 小鬼と出会う私。

 (感想)

 高堂が再び登場。ちょっぴり毒のあるところはまだまだ健在でした。

 ※セツブンソウ

 ペンとインクと筆の関係、そして、今年は咲かないかもしれないセツブンソウ。高堂との会話は進む。

 (感想)

 下界にまみえぬ、清澄な気配をあたりにはなっているセツブンソウが、深山の奥にしか棲息できまい、と考える「私」の心情はどんなものか、想像する楽しみがあります。

 ※貝母(ばいも)

 「私の探している道とは何か」

 ふいに筍狩りから、哲学的な話になりそうな雰囲気になる。

 (感想)

 突然英語が出てきてびっくりしました……。

 ※山椒

 和尚の様子がおかしい……

(感想)

 でも、それじゃゴローに感謝ってありえないよなあ、と思いました。だってタヌキだよ? 

 ※桜

 山内にさんざんなものの言い様をされてしまう「私」である。

 (感想)

 木にいとまごいをされるとは、主人公の綿貫も相当変人です。

 ※葡萄

 湖の底へ行った「私」は……

 (感想)

 葡萄を食べる、食べないというところで決意をする「私」の克己心の強さに打たれました。

 この話は、これでおしまい。

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2009年02月11日

ドリトル先生と緑のカナリア

 ☆ドリトル先生と緑のカナリア

 ひょんなことから動物店でメスのカナリアを買ったドリトル先生は、このカナリア、ピピネラが歌えること、そして昔のことをよく覚えていると言うことを知り、大いに驚く。ピピネラは、自分がかごの鳥からいかにしてドリトル先生とめぐりあうようになったのか、その人生の長い話を語って聞かせる。

 前半は、ピピネラとその親友窓ふき屋の話。ピピネラと窓ふき屋は、いかにして巡り会ったのか。そしていかにして離ればなれになり、かごの鳥だったぴぴねれが、かにして野生の鳥のように生きられるようになったのか、の問語りが語られる。窓ふき屋との意外な場所での再会、再びの離別。話を聞いたドリトル先生は、ピピネラのために窓ふき屋を探してやることにする。後半はその捜索とピピネラ・窓ふき屋の再会、そして彼が一番大切にしている書類を巡る騒動が物語られている。

posted by アスリア at 07:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年02月07日

バッテリー

☆「バッテリー」あさのあつこ 教育画劇/アスリア

 都会で野球部だった巧は、父の健康上の理由から中国地方の田舎の野球部に入ることになる。彼には身体の弱い弟がいるが、弟は巧を見て野球をやりたい、と言い出す。

 自分の野球に絶大な、ほとんど信仰ともいえるくらいの自信と信頼を寄せている天才ピッチャー、巧と、彼をリードすることになる豪の友情のお話。

 書評

 巧の性格って、かなり複雑です。どことなく、「罪と罰」 のラスコーリニコフを感じさせる屈折した感情を持ってるんだけど、まだ十二、三才なんだね。

 身体の弱い弟青波に対して、嫉妬したり愛情を感じたりということを、淡々とした口調で語ってるところがすごい。最後のところで青波が兄に認められず、グレて道に迷ってしまうあたりはどきどきしました。巧と青波のおじいさんと、巧の母親のやりとりも面白い。

 おとなに対して野球のピッチングをするシーンは、ちょっぴりセクシャルで激しさもあり、かなり盛り上がりました。

 読後感のかなりあるお話。ドラマになったんだったっけ? 続きが読みたいと思った一冊です。

   印象に残った記事

 (P157〜158)

 (引用開始)

 (青波はええと思うがな。ああいう目をした子はうまくなるんじゃがな)

 洋三は、確かにそう言った。

 そうなのだろうか、本当にそうなのだろうか。あの青波が、身体が弱く絵、しょっちゅう病気して、母に守られて、なんとか生きているみたいな青波が、自分のようにボールを投げ、はして、野球をやれるのだろうか。

 巧は、額の汗をふいた。やれるような気がした。おろち峠を越えて、新田の街に来てから青波は強くなったような気がする。洋三のせいか、豪のせいか、それともこの街のせいなのかわからない。グラブを持って、ボールをとって、大きな声で笑って、きつい目でにらんできて……今まで巧が知らなかった青波ばかりだった。

 ふざけんなよ。

 下唇をかみしめる。

 いつも、母さんに甘えて、守ってもらって、布団の中で眠って多様なヤツに、おれと同じ野球をやらえてたまるもんか。

(引用終わり)

・なぜ印象に残っているのか

 弟に対する嫉妬が、よく表されていると思いました。巧はなかなか、激しい性格のようですね。

posted by アスリア at 06:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年02月05日

十二番目の天使

「十二番目の天使」オグ・マンディーノ 求龍堂

(ストーリー)

 最愛の妻と息子を失ったあまり、自殺しようとしていたジョン・ハーディングは、ティモシーという少年の底抜けなまでの前向きな姿勢に救われる。ところが、ティモシーには一つの重大な秘密があった。

 書評

 「毎日、毎日、あらゆる面で、ぼくはどんどん良くなってるんです!」

「絶対、絶対、絶対、絶対、あきらめない!」

 野球でミスばかりしているティモシーの、勇気ある言葉に、チームメイトも彼のことを応援し始めるのですが、ティモシーの勇気はそこだけではなかったのです……。

 かなーり説教臭いけど、泣けるお話です。外国のスポ根ものって、こんな感じなのねえ、という印象。野球好きにはたまらないお話ですね。

 印象的なセリフとして、こんな記事がありました。宿敵ヤンキーズと最後の決戦を前にして、監督であるハーディさんの言う台詞です。(P217ーP218)

「さあみんな、いよいよだな。しかし、よくここまで来たよ。一人一人が、それぞれ重要な役割を果たして、このビッグゲームにたどり着いたんだ。おまえたちの全員が、自分を誇りに思っていい。本当によくやった。それから、この試合に関して一つだけ言っておきたいことがある。この試合は確かにビッグゲームだ。でもお前たちには、この試合を心から楽しんでもらいたい。この試合は、そもそも、そのためにあるんだ。ここに今日いられるということは、お前たちがシーズンを通してがんばってきたことに対する、ご褒美なんだ」私は続けた。

「ところで、ご褒美って何なんだ? 楽しむためのものさ。楽しめないご褒美なんて何の意味もないよな? だから、このご褒美をたっぷりと楽しむとしよう。いいな? 今日の試合に勝とうが負けようが、太陽は明日もしっかりと昇る。お前たちの人生の一番いい時期は、まだまだ先の話なんだ。もちろん、勝つに越したことはない。でも、これは死ぬか生きるかの戦いなんかじゃないんだからな。忘れるなよ。これはただの野球なんだ。だから、今日は気楽に、楽しく凄そうじゃないか。もちろん勝利を目指してだけどな」

 日本のスポ根漫画、「巨人の星」なんかとは対照的な考え方の記事ですねえ。でも最近の日本スポ根漫画も変わってきてるから、こういう考え方の監督の話も、あるかもしれませんね。

 

 2009/01/22

posted by アスリア at 08:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

海駆ける騎士の伝説

☆海駆ける騎士の伝説

 ダイアナ・ウィン・ジョーンズ(徳間書店)

今から百年前のこと、イギリスのある田舎では、その近くの島に通じる海からやってくる騎士を見たら、必ず死ぬという伝説があった。セシリアとアレックス姉弟は、その島からやってきた騎士を目撃し、その真相をつきとめるため、危険な流砂を越えて島にやってくる。そこではその騎士ロバートが大公を殺した罪で追われており、その大公の息子エヴァラードもまた、命を狙われていたのだ。セシリアは騎士とともにその反逆者から逃亡できたが、アレックスは公子エヴァラードと共に反逆者の城にとらわれ、地下牢に閉じこめられてしまう。意外にも、それを救ったのはロバートではなく……。

 書評

 ロバートが心ならずも殺すことになった人の息子であるエヴァラードのために戦う話なのかな、と思ったら、アレックスがエヴァラードのために戦う話、というか、アレックス姉弟が嫌っていた人物二人が出てきて、戦った話でした。そんな伏兵を出すなんてありかよ、という感じですが、話に破綻がなく、かつまた地下牢でのエヴァラードとアレックスの会話がなかなか良くて、面白かったです。 でも、設定はイマイチ甘いかな。イギリスの人を殺したら島の人々が全滅する、という言い伝えがあるそうですが、それなら逆に、イギリスの人がなんで島の人を見て死ぬと思いこんだのか、それがちょっと判りづらい。流砂と関係があるようですが、そこを避ける方法も簡単に見つけられるみたいだったし、そもそもそういう伝説が島にあるのなら、セシリアもアレックスも島の人からは傷つけられないのは確実じゃないですか。まあ、その伝説のおかげで、反逆者の邪悪さが描写されてるので許しますが(苦笑)。

 あと、視点が二つあるのもどうかと思いますが、場面転換のためには必要だったのだねと思いました。アレックスが病気になってる間に話が進むのもどうかな。つじつまは会うけど、情けない主人公に思えます。

ジョーンズさんの若い頃の作品なのだそうです。あれだけ有名にあると、色んな欠点があっても、出版されるし許されるという証拠のようなお話ですねえ。別にいいけど嫉妬しちゃいそうです☆

・印象に残った記事

 (P181〜182)

 エヴァラードはうなずき、二本の指をからませて片手をあげた。「では、休戦」

 ここでもけんかをやまえるときは同じしぐさをするんだな、と知って、アレックスはうれしくなった。「うん、休戦だ。殿下もこの合図を知ってるなんて、うれしいよ」

「ハンプティー・ダンプティーだけではないぞ。これからは、エヴァラードと呼んでくれないか」エヴァラードはにっこりして手をさしだした。握手をしてから、エヴァラードはきいた。「ところで、人身保護法(ハベアス・コルプス)とはどういう意味なのだ? 法律用語か?」

「うん、そうだと思う。マグナ・カルタのころからある考え方だよ――でも、マグナ・カルタも聞いたことないだろうね」アレックスは、マグナ・カルタを作ったジョン王と貴族たちについて、できるだけくわしく説明した。「……だから今では、どんなに有罪がはっきりしてると思われる犯罪者でも、裁判にかけるんだよ。あやしいとか、邪魔だというだけで、人を閉じこめてはいけないってことになってるんだ」

「今のぼくときみのようにか?」とエヴァラード。「外(と)つ国人(くにびと)の方が、その法律については優れているな。アレックス、もしここから無事に出られたら、我が国でも人身保護法を制定すると約束しよう。緊急にその法律が必要だと判ってきたからな」・なぜ印象に残っているのか

 異世界の人間が、こちら側の優れた点を率直に認めるこの度量の広さに感銘を受けました。それだけでなく、こちら側の人間が、イギリスの法律を誇りに思っている様子なのが印象的です。ことあれば憲法第九条を改悪したがるどこかの政治家とは大違いだな、と思いました。

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